ZONDA ハブ分解と違和感
古いC15時代のZONDAをずっと愛用していますが、最近になって前輪に違和感が出てきました。クイックリリースを固定した状態で、タイヤを掴んで左右に揺するとガタを感じます。玉押しが緩いわけでもなく、いくら調節してもガタは消えません。 よくガタの感触を確かめると、玉押しが緩いときに出る軸の水平方向のガタではなく、上下方向にガタついています。
とりあえずハブを分解してみる。

シールを取るために、指を突っ込んで軽く引き抜く方向に力を掛けたら、なんと玉受けまで一緒に全て外れてしまった。この玉受け(ベアリングカップ)は圧入されているもので、手で外れるようなものではないはず。。

玉受けの部品番号は、HB-RE124というやつ。 やっぱり専用工具で圧入するものらしい。

外れた玉受けをよく観察すると、縦縞のようなものが見えます。おそらくこの玉受けがハブシェルの中で微小に動き、摩耗して手ですっぽ抜けるほどになってしまったのでしょう。ガタもそれが原因かな?

ハブシェルとこの玉受けを接着して固定してしまいましょう。ChatGPTに相談すると、はめ合い用ロックタイトがこの用途には適しているらしい。
ヤフオクで、はめ合い用ロックタイトの638を小分けにして売っているこすいやつから購入しました。

パーツクリーナーで入念に脱脂し、ロックタイトを極薄くハブシェル内と玉受けの外側に塗布し、ゆっくり回しながら挿入します。事前にハブシェルをドライヤーで温めておくと、途中でつっかえる事故が減りそうです。関係ない場所についてしまっても、空気中では硬化しないのですぐ拭けば多分大丈夫。余裕を見て、硬化まで5日間ほど放置しました。

硬化後、玉受けの裏側にはみ出したロックタイトを念入りに除去します。

玉受けの後ろにあるこの黒いやつは外れます。外したほうが清掃しやすい。

その後ハブを組み直してみると、無事にガタは消えました。接着強度は、しっかり脱脂ができていて均一にロックタイトが回っていればそれなりにはありそう。以下ChatGPTの解説です。
前提
LOCTITE 638は円筒嵌合部品用の高強度保持剤で、Henkel公式では最大0.15〜0.25 mm程度のすき間充填、嫌気硬化、金属同士の嵌合固定用とされています。 TDSでは、638のせん断強度は ISO 10123 で典型値 31 N/mm²、範囲 22〜40 N/mm² とされています。ただしこれは主に鋼ピン・カラーでの試験値です。
カップ寸法は、以前見たHB-RE124系の販売情報ベースで仮に、
外径 D = 30 mm 接着幅 W = 6.5 mm
とします。実物で測れるなら、ここは実測値に置き換えてください。
接着面積は円筒側面なので、
A = π × D × W A = 3.14 × 30 × 6.5 A ≒ 612 mm² 理想強度
638のせん断強度を控えめに 15 N/mm² と見ても、
F = 612 × 15 F ≒ 9,180 N
TDSの低め側 22 N/mm² で見ると、
F = 612 × 22 F ≒ 13,500 N
典型値 31 N/mm² なら、
F = 612 × 31 F ≒ 19,000 N
つまり、理想的に全面接着できれば9〜19 kN級です。
これは静的な数字だけ見るとかなり強いです。人間+自転車を80 kgとしても重力は約785 Nなので、単純な荷重だけならかなり余裕があるように見えます。
ただし現実はかなり割り引くべきです
今回のハブは新品同士の嵌合ではなく、
カップが手で抜ける
何度も抜き差しされている
ハブシェル側が摩耗している可能性
アルミ側なので硬化が遅め
接着層の厚みが不均一
カップがわずかに傾く可能性
小分け638で鮮度・真贋が不明
グラベルでは衝撃と繰り返し荷重が大きい
という悪条件です。638のTDSでも、硬化速度は材質・すき間・温度に依存し、アルミでは鋼より硬化が遅くなるグラフが示されています。
なので、理想値をそのまま使うのは危険です。
現実的には、実効強度をこう割り引いて見るのがよいです。
想定 有効接着率 15 N/mm²換算の耐力
かなり良好 100% 約9.2 kN
まあまあ良好 50% 約4.6 kN
不安あり 25% 約2.3 kN
かなり悪い 10% 約0.9 kN
局所接着だけ 5% 約0.46 kN